今日は「SILKYPIX Marine Photography」について少しレポートしてみます。
水中写真専用デジタル現像ソフトとして知られるSILKYPIX Marine Photographyですが、水中でストロボを使うことなく青かぶりしてしまった色を再現するという特徴があります。 特にワイド写真において、ストロボでは照射しきれない範囲や距離の色も再現してくれる能力があるので、私が作成する360°VRパノラマ写真にはうってつけの機能だと思って使っています。 SILKYPIX Marine Photographyを使ったパノラマ写真はこんな感じになります。 (写真をクリックするとパノラマ写真が見れます) 360panoramaworldより。 しかし、普通のワイド写真ではあまり使ったことがなかったので、今回粟国島で潜る機会があったのでテスト的に使用してみることにしました。 SILKYPIX Marine Photographyを使うということなので、あえてストロボは置いていくことにして、一眼レフカメラにフィッシュアイレンズをつけただけの簡単な装備で行ってきました。 ストロボを使わないことのメリットは、 1.連写が可能(ストロボチャージを待つ必要がない) 2.水中での機動性がかなり高くなる(長いアームや2灯ストロボがないと非常に動きやすいです) 3.生物に近づきやすい(これもアーム類がないので生物への威嚇が少なくなります) デメリットは、 1.色の再現のイメージが湧きにくい(慣れるかもしれませんが) 2.ストロボを使わないことでややブレやすくなるので、感度を高めに設定する必要がある(個人差があります) などでしょうか?(とりあえず思いつきで書いてみました) さて、そんな特徴を念頭におきつつ粟国島一泊二日4ダイブしてきました。 まずは何よりも水中での機動力に感動します。 普段の2灯ストロボ&長めのアームによる水の抵抗がこんなにあったのか!と思うほどです。 まずは超ローアングルからハナダイの群れを撮影。 オリジナルデータ SILKYPIX Marine Photographyで現像 現像結果がわかりやすいですね。 また機動力があるということは、今まで諦めていた位置からの撮影も可能になるということです。 特に粟国島のように時に流れのあるポイントではかなり有効です。 ギンガメアジを撮影 オリジナルデータ SILKYPIX Marine Photographyで現像 機動力を活かして正面に回り込むことも出来ました。 オリジナルデータ SILKYPIX Marine Photographyで現像 中層の群れを泳ぎながら撮影する時も機動力が活きます。 オリジナルデータ SILKYPIX Marine Photographyで現像 ホソカマスの群れ オリジナルデータ SILKYPIX Marine Photographyで現像 オリジナルデータ SILKYPIX Marine Photographyで現像 と、ここまで光り物を連続しましたが、光り物に関しては画像を見る限りあまり効果を大きく感じることができないかもしれませんね。(ただし、水中での機動力の高さは特筆ものです!) 写真の下の方のサンゴや根の表面の色具合、または魚の周囲の水の色を見てみるとなんとなく青かぶりがなくなっているのがわかると思います。 ただ、おそらく彩度やコントラストを高めている結果だと思うのですが、(私のソフトの技術が未熟なせいもあるかと思いますが)ハイライト(白飛び)部分が多くなってしまいました。 では、光り物に加えて手前に色のある風景の場合はどうでしょうか? オリジナルデータ SILKYPIX Marine Photographyで現像 オリジナルデータ SILKYPIX Marine Photographyで現像 オリジナルデータ SILKYPIX Marine Photographyで現像 どうでしょうか? 手前のキンギョハナダイやサンゴの色はしっかりと再現できていると思います。 最後に失敗例を。 まずは過去にストロボを使って撮った写真です。 同じ場所で、同じようなイメージになるようにと思ってノーストロボで撮影しましたが・・・ この写真だけは私の力では色の再現ができませんでした。 このように真逆光などで、シルエットになり黒つぶれしている場合は残念ながら色の情報を持っていないのでどうやっても色が出せません。 【総評】 一般的なワイド写真の場合、SILKYPIX Marine Photographyで現像することを前提に撮影するなら、ストロボを使わないことで、水中で非常に機動力が増し、撮影のストレスが軽減できます。 特に流れのあるような場所、体力的に厳しい場合などは非常に有効だと感じました。 ただし、状況によってはソフトでリカバリーできないこともあるので、撮影〜現像までの流れやイメージをつかんでおくと良いと思います。 なお、SILKYPIX Marine PhotographyはRAW現像を推奨しているのですが、コンパクトカメラには対応していないことが多いです。最近ではコンパクトカメラでも内蔵レンズが広角でRAW記録ができる機種もあるので、それらの機種に対応してもらえれば、さらに水中で自由に泳ぎ回ることができてダイビング自体も楽しみながら写真もしっかりと撮れるという結果につながると思います。 ちなみにですが、「では自分は常にノーストロボでいくのか?」というと、決してそうではありません。 例えば取材などの場合は、現場でイメージが欲しいですし、ストロボ光の強力な光源が必要なこともありますので、ケースバイケースということになるでしょう。 今回のように、流れがあって泳力が必要とされるような状況が考えられる場合は非常に有効だとは思います。 以上、久しぶりに長い記事を書いてしまいました。 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 では、明日からまた出張撮影で富士山方面に行ってきます!
by gallery-h
| 2013-06-04 15:47
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